最哀の果て 感想

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昨日、今日と劇団ココアさんの

最哀の果て

を観劇してきた。

2回見に行った理由はいつも良くしてくれるひぐちさんと応援している福士さん扱いで2回行こうと思ったからである。

結論から言うと2回見に行ってよかった。

その理由は後述しようと思う。

今回の舞台は悲哀の話というふうに聞いていた。

実際に見た感想は

「呪い」と「愛情」

の話だった。

呪い、というのはいろんなものがある。

いわゆる人を苦しめ束縛する災としての呪いもそうだが、一番自分達に近いのは「言葉」の呪いではないだろうか。

ちょっと人に言われたこと。それを考え続けてしまう。それもまた呪いの一種ではなかろうか。さらには、その言葉が大事な人に言われたことなら、、、それは人を押しとどめるには十分なものだろう。

今回の登場人物は全員がそんな呪いに蝕まれた人物ではないかと思う。

主人公である灯華は自分の寿命が短く、幸せにはなれないという呪いに囚われていた。しかし、この呪いの大元は短命であり、周りに不幸を振り撒いてしまう、というものであった。最終的に幸せのなるかどうかは自分が決めるしかないのだ。しかし、厳格な父に言われそう言われて続けて育ったゆえにその言葉は彼女への呪いとなった。

しかしながら、父親である扇治も呪いの犠牲者ではないだろうか。きっと彼自身も白鷺におけるしきたりという呪いに振り回されて生きたのだろう。そうやって、白鷺の家を守るために彼は呪いを受け入れ、その呪いを高背に継ぐしかなかったのだろう。

さて、もう一つ呪いとなる要素として「願望」があるだろう。これは自分に対しての呪いである。そうあらなければならない、そうありたいと望むことは時に人を盲目的な執着心を植え付ける。この呪いを受けたのは恭二と清玄だろう。恭二は全てを手に入れるために己が使える全てを使い、人に呪いを与えながら自らを地位への執着という呪いに身を浸していたのではと思う。清玄に与えられた呪いも己の地位に関する呪いであったろう。自分の父を見返すために、与えられなかった愛を見返すために、それらの思いが彼の心を乱す呪いになったのだろう。最終的にはその呪いは彼の愛をも歪ませ、その結果、彼は永きにわたる呪いを受けたのだった。

さて、呪いになるようそで一番恐ろしいのは「愛情」ではなかろうか。情熱的に燃やす愛は自信を周りを燃やしかねない。その呪いに蝕まれたのはひぐちさん演じる立花と福士さん演じるいとであろう。

ひぐちさんが演じる立花は恭二に対する愛ゆえに彼の全てを盲目的にしんじてしまうという呪いを背負っていた。騙されるはずもない、自分の愛は恭二に届いている。それゆえに、汚れ仕事も請け負った。だが、それは自身に貸した呪いでしかなく、最終的に呪いは暴走する結果になった。

福士さん演じるいとは逆に清玄と心を交わし合わせていたからこその呪いだったのだろう。愛を育み、共に歩み、だが、最後は裏切られた。彼女の中に育てられた愛は大きかった、その分、反転した時に振り撒かれる呪いは強大なものだった。

もう1人、愛情によって呪いを受けた人物がいると思う。桃子である。この場合は愛情というより友愛だろう。灯華を救えるのは自分ではない。でも、他の誰かなら、、、。自分には出来ないという思いを背負ってしまう。これもまた、呪いではないだろうか。

さて、「愛情」はもう一つの側面もある。それは呪いを解くという側面である。そのための愛を持っていたのが樹、凛、梅里だと思う。

梅里は灯華を思い近くで見守ることをしながら、彼女に夢を思い出させた。きっと、何気ない会話だったのかもしれないが、その会話は呪いを解除するための鍵を育てる第1歩となったのだろう。

凛も樹に対する愛情を呪いとしてではなく、鍵として持っていた人物であると思う。その鍵は樹を救うのではなく、桃子の自分ではそうにもならないという思いの呪いを解く鍵になったのだ。

最後に樹である。きっと彼自身は呪いとは無縁な人間だったのであろう。それゆえに鍵を持っているという自覚はなかったと思う。しかしながら、灯華と関わることによって彼は自分がその鍵を持っているという自覚が生まれたのだと思う。自分が彼が鍵を持っていいると自覚したのではないかというシーンがある。凛が告白するシーンだ。彼は彼女の愛を受け入れつつ、灯華を救いたいという結果を出した。この時彼は、自分が灯華を救えるはずという自覚を持ったのではないかと思う。そして、その呪いの鍵は最終的に全ての呪いを解く鍵であった。彼は「愛情」を「言葉」を「呪い」として持たない人物ではなかったのではないかと思う。

さて、ここからは推しキャラ紹介。

まずはひぐちさん演じる立花。

いわゆる盲目的ヤンデレである。恭二様ラブ!!を突き通した演技は、なんだろうか、マグマのような愛情を連想させた。というか、怖かった。いい意味である。恭二様好き好き!!という気持ちがずっと伝わってきた。それゆえに恭二様に敵対する人物に対するドスの利いた声は響くものがあった。最後のシーンは是非見てもらいたい。いつもお世話になっています。ありがとうございます。チェキは怖かったけど120点です!!

次は、ミヤビさん演じる恭二様である。もう、様付けである。すっごくいいよね。クズ系関西弁。とにかく端から端までクソ野郎!!だがその、クソ野郎具合が大変に気持ちがいい!!!最終的にはああなってしまったが、覇権を獲るルートも見てみたい。あと、Twitterを見るとミヤビさん自身はもちろんであるがいい人であった。素敵だなと思い、チェキとブロマイド買った。

最後は福士さん演じるいと。初めは衣装と福士さんの容姿、演技も相まって可愛い!!と思っていたが...最終的には一番怖かった。途中まで、お茶目なところもある可愛い人という印象だったが、清玄に裏切られたあたりから本当に怖かった。どちらかというと明るさや優しさを兼ね備えた役が多かったり、ゲーム実況を楽しくされているイメージが強いので、ヤンデレシーンは新鮮だった。スポットライトに照らされ恨みを言うシーンは背中がゾクッとした。最後は可愛いシーンで締まるのでほっこりである。

今回、自分は2回みに行ってよかったと書いたが、その理由は感情の動きを見ることができるからである。1回目はストーリーと人物関係、動きを見るのに忙しく最終的には感情が真っ白になったが、2回目は誰がどのように感じながら動いているかをみながら感激することができた。

ちなみに、2回見るとお得なこともある。アドリブシーンが違う(当たり前)。

今回は大喜利があった。自分的には割と早坂さんの回答はツボだった。家なら爆笑している。

いろいろなことを書いたが、とにかく感情を揺り動かさえる舞台であった。

それゆえに考え、たくさん考察することもできた。

2日間とても楽しく観劇ができたことを、嬉しく思う。

では、また。